オニグルミやウォールナッツとは全く異なる新しい胡桃
高原くるみは、シルクの産地で知られる杭州の臨安で収穫される高級ナッツです。浙江省と安徽省にまたがる天目山山麓の海抜400mから1,200mのみに生育する山胡桃の木に実ります。現地では「山核桃」や「山胡桃」と呼ばれていますが、形状や味、食感は日本のオニグルミやウォールナッツと全く異なるので、混同されることなく明確に区分するために「高原くるみ」と名付けました。
なぜ天目山エリアでしか生育していないのか
かつて、高原くるみ(山胡桃)は天目山山麓だけでなく、江西省や湖南省など広い範囲で生育していたと考えられています。氷河期(200万年前)の影響を受け、ほとんどの地域の山胡桃は絶滅しましたが、臨安の清涼峰や天目山に守られた一部のエリアで遺存種として生き残り、現在まで脈々とその遺伝子は受け継がれています。高山特有の気候や地形、石灰岩から生じた黒ボク土などの自然的要因と歴史的背景が複合的に重なりあった結果、当地における山胡桃の収量や品質が向上し、浙江省と安徽省にまたがる天目山山麓が高原くるみの一大産地となりました。
高原くるみ特有の食感と旨味を引き出すロースト製法
高原くるみは、果肉の形状、色、サイズはコーヒー豆に似ています。渋味やえぐみは少なく、味は濃厚でサクサクとした食感と香ばしさ、深いコクが特徴です。
この高原くるみを特別な製法でロースト加工を施すことにより、山胡桃が有する食感と風味を引き立たせることに成功しました。
栄養豊富な高級ナッツ
限られた地域でしか収穫されない希少性、また、傾斜地において人力で収穫を行うなど、原料は高価で取引されており、高原くるみは中国では高級ナッツとして認知されています。
また、高原くるみには良質の脂質が多く含まれている事から、中国では妊産婦の女性への摂取が推奨されています。
高原くるみの起源
高原くるみ(山胡桃)がはじめて文献に登場するのは、唐末期(約1000年前)までさかのぼります。
詩人の羅隠が臨安の昌化で猿が木の実を食べている様子を目撃し、自身も同様に殻を割って味見したところ、非常に美味であることが分かりました。そこで、彼は歌を作り、近くの農民に伝えたと言われています。
高高山上有树木
寒冷不怕霜和雪
借出果子人不识
去掉外壳吃里核
訳:
高い山には(山胡桃の)木が成長しています
霜や雪が舞い降りる厳しい冬の寒さにも負けず
実を結んでも誰も知られることがないけど
殻を剥けば、美味しい実が食べられるよ
その後、明時代の伝説的な軍師である劉基(字は伯温)が昌化に駐留した折、山胡桃を煮込み、渋味を除去する製法を発見し、山胡桃が兵糧として採用されるようになりました。これを機に民衆の間でも山胡桃の食用が広がったようです。